「HBARってよく名前は見るけど、何をやっているのかよくわからない」
ISO 20022対応コインを調べると必ず出てくるHBAR(ヘデラ)。でも他のコインと比べて説明が難しく、「結局なんなのか」が掴みにくいコインのひとつです。
その理由のひとつは、HBARがそもそもブロックチェーンではないからです。
XRP・XLM・XDCはすべてブロックチェーン技術をベースにしています。でもHBARは「ハッシュグラフ」という全く異なる分散型台帳技術を使っています。
この記事では、HBARが何者なのか、なぜISO 20022対応コインとして注目されているのか、そしてGoogle・IBMまでが参加している理由を整理します。
HBARとは。そしてなぜ「ブロックチェーンではない」のか

HBAR(エイチバー)は、Hedera Hashgraph(ヘデラ・ハッシュグラフ)というネットワークのネイティブトークンです。
2018年にLeemon Baird博士とMance Harmon氏が開発し、2019年9月にメインネットが公開されました。
「ハッシュグラフ」という名前が示す通り、ブロックチェーンとは根本的に異なる仕組みで動いています。
ブロックチェーンとハッシュグラフの違い
ブロックチェーンは、トランザクション(取引)を「ブロック」にまとめて直列につないでいく構造です。ビットコイン・イーサリアム・XRP・XLMもすべてこの仕組みをベースにしています。
これはシンプルで信頼性が高い反面、ブロックを生成する処理が「順番待ち」になるため、速度に限界があります。
ハッシュグラフは有向非巡回グラフ(DAG)という構造を使います。トランザクションをブロックに詰めて直列処理するのではなく、ネットワーク上で並列に処理していきます。
「Gossip about Gossip(ゴシップ・アバウト・ゴシップ)」と呼ばれる通信プロトコルにより、各ノードがランダムに他のノードへ情報を伝達し、ネットワーク全体で素早くコンセンサスを取ります。
この仕組みにより、HBARは理論上10,000TPS以上の処理能力を持ちます。
| ブロックチェーン(一般) | ハッシュグラフ(HBAR) | |
|---|---|---|
| 処理構造 | 直列(ブロックを順番に処理) | 並列(DAGで同時処理) |
| 処理速度 | 数秒〜数分 | 2〜3秒でファイナリティ確定 |
| TPS | 数百〜数千 | 10,000以上 |
| 手数料 | 変動制が多い | USD固定(0.0001ドル以下) |
| エネルギー消費 | 高い傾向 | 1トランザクションあたり0.000003kWh |
手数料がUSD固定という点も特徴的です。XRPやイーサリアムは市場の混雑状況によって手数料が変わりますが、HBARは事前に費用を計算できます。企業が大量処理を行う場合、コスト予測が立てやすいことは重要な要素です。
なぜGoogle・IBMが評議会メンバーなのか
HBARの最大の特徴のひとつが、「ガバナンス評議会(Hedera Governing Council)」という仕組みです。
ほとんどの仮想通貨は特定の企業や財団がプロジェクトを主導するか、コミュニティ投票で方針を決めます。HBARは違います。
世界の大企業・機関が評議会メンバーとして参加し、ネットワークの意思決定に関与します。
2026年時点の主な評議会メンバー(31社):
- Google(アルファベット傘下)
- IBM
- Dell Technologies
- Boeing
- Deutsche Telekom(ドイツ通信)
- LG Electronics
- Standard Bank(アフリカ最大手銀行)
- Chainlink Labs
- McLaren Racing(F1チーム)
これだけの企業が「名前を貸しているだけ」では終わりません。各社はHBARのネットワークを実際に使ってサービスを構築しています。
Googleはクラウドサービスの一部にHBARのコンセンサスサービスを組み込み、データの整合性保証に活用しています。
なぜここまで大企業が参加するのか。その理由のひとつが「ガバナンスの透明性と予測可能性」です。多くのブロックチェーンは少数の開発者チームや大口保有者が意思決定を左右しますが、HBARは31の独立した組織が拒否権を持つ構造になっており、特定のプレイヤーによる支配が起きにくい設計になっています。
なぜISO 20022と関係するのか
HBARはISO 20022に完全対応しており、ISO 20022対応コインの中でも「最も企業・政府機関に近い位置にいる」と評価されています。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)への採用
特筆すべきは、オーストラリア準備銀行がCBDC(中央銀行デジタル通貨)の実証実験「Project Acacia」にHBARを採用しているという事実です。
Project Acaciaは、リアルタイムのクロスボーダー決済とCBDCの相互運用性をテストするプロジェクトで、HBARのネットワーク上でオーストラリア・デジタルドルの実証が行われました。
中央銀行が「実験環境」として選ぶ技術というのは、信頼性・規制対応・処理能力のすべてが高水準にあることを意味します。
銀行の実導入実績
韓国の新韓銀行は、国際送金システムにHBARを採用し、送金スピードの向上と手数料の大幅削減を実現したと発表しています。
さらに新韓銀行・Standard Bank・SCB TechXが連携したステーブルコイン送金パイロットプログラムでも、HBARのToken Serviceがリアルタイム決済とFX統合に使われています。
「将来の可能性」ではなく、「銀行がすでに本番環境で使っている」という段階にあります。
イングランド銀行のDLTチャレンジにリストアップ
イングランド銀行(英国の中央銀行)が実施したDLT(分散型台帳技術)イノベーション・チャレンジにおいて、HBARがリストアップされました。
中央銀行レベルでの関心が世界複数カ国に広がっています。
HBARの3つのコアサービス
Hederaが企業向けに提供するサービスは大きく3つです。
① Consensus Service(コンセンサスサービス)
任意のアプリケーションに「改ざんできないログ記録」を提供するサービスです。Googleがクラウドサービスに組み込んでいるのはこの機能です。データの整合性保証・監査ログ・サプライチェーン追跡などに使われます。
② Token Service(トークンサービス)
法定通貨・証券・RWA(リアルワールドアセット)のトークン化に特化したサービスです。新韓銀行のステーブルコイン送金パイロットもこの機能を使っています。
③ Smart Contract Service(スマートコントラクトサービス)
イーサリアムと互換性のあるスマートコントラクトをHBAR上で実行できるサービスです。DeFiアプリケーションの開発にも対応しています。
この3つが組み合わさることで、「金融インフラから企業向けアプリまで、規制に対応した形で構築できる」フルスタックな基盤になっています。
XRPとHBARの役割の違い
XRPとHBARも、よく一緒に語られますが目指す領域が違います。
| XRP | HBAR | |
|---|---|---|
| 対象 | 銀行間の国際送金 | 企業・中央銀行・政府のインフラ |
| 技術 | XRP Ledger(ブロックチェーン) | ハッシュグラフ(DAG) |
| TPS | 1,500+ | 10,000+ |
| 手数料 | 変動(非常に低い) | USD固定(予測可能) |
| ガバナンス | Ripple社主導 | 31社の評議会制 |
| 採用事例 | 銀行間決済・国際送金 | CBDC・ステーブルコイン・企業ログ |
| ISO 20022 | 標準化団体 正式メンバー | 完全対応 |
XRPが「お金を動かす速い道路」だとすれば、HBARは「企業・政府が使う高信頼のインフラ基盤」に近いイメージです。
競合ではなく、それぞれが異なるレイヤーで世界の金融インフラに組み込まれていく可能性があります。
HBARを選ぶ前に知っておくこと
正直に書きます。
HBARは「技術的に優れていて、採用実績もある」コインですが、価格的な知名度・流動性はXRPと比べるとまだ小さいです。
評議会に大企業が並んでいても、それが直接HBARの価格に反映されるわけではありません。CBDCの実証実験に採用されても、本番導入まで時間がかかることもあります。
私がHBARを評価しているのは「すぐ上がるから」ではなく、「中央銀行・大企業レベルで実際に使われている技術があり、ISO 20022への対応も完了している」という根拠からです。
仮想通貨投資においても、「なぜ持つのか」を自分で説明できることが一番大事だと思っています。
HBARを買う方法
HBARは国内の多くの取引所では取り扱いがありません。
国内で購入できる主な選択肢はSBI VCトレードです。SBIグループが運営する取引所で、HBARのほかXDC・ALGOなど他の国内取引所では買えない銘柄も揃っています。
XRP・XLMをコインチェックやビットバンクで持っている方が、ISO 20022対応コインのポートフォリオを広げるために開設するサブ口座として向いています。
口座開設は無料です。具体的な購入手順はSBI VCトレードでHBARを買う方法で解説しています。
まとめ
- HBARはブロックチェーンではなく、ハッシュグラフ(DAG技術)を使った全く異なる分散型台帳
- 10,000TPS・手数料USD固定・カーボンフットプリントゼロという企業向けスペック
- Google・IBM・Boeing・Deutsche Telekom・McLarenなど31の世界的機関が評議会に参加
- オーストラリア中央銀行のCBDC実証実験・新韓銀行の実導入など中央銀行・銀行レベルの採用実績がある
- ISO 20022に完全対応。企業・政府が使えるフルスタックなインフラを目指している
- 国内ではSBI VCトレードで購入可能
「名前は聞いたことあるけど何なのかわからなかった」という人に、この記事が判断の材料になれば幸いです。
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